胃カメラって苦しくないの? ~経鼻内視鏡について

皆さんは、「胃内視鏡検査(胃カメラ)」と聞くと、どんな言葉を連想されますか?

おそらく「苦しい」「怖い」「苦手」といったマイナスイメージが多いのではないか、と思います。

胃内視鏡検査は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃癌といった病気を診断するのには欠かせない検査で、特に胃癌については健診などで定期的に行うことが、早期発見早期治療につながる大切な検査です。しかし、内視鏡を飲む時の「おえーっ」という感じが苦手で、検査に二の足を踏んでしまう方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。これは嘔吐反射といって、口から内視鏡を挿入する場合は避けられないものです。

日本では最近、鼻から内視鏡を挿入する「経鼻内視鏡」が普及してきています。

これは従来のスコープの2/3程度の太さの細い内視鏡を鼻から挿入して行う検査です。

最大の長所は、鼻からの挿入のため、嘔吐反射(「おえーっ」となる状態)が少なく、従来の内視鏡より検査の苦痛が少ない点です。他に、検査途中で会話ができるといった利点もあります。

一方、短所として、まれに鼻出血がみられることと、口から挿入する場合に比べ内視鏡検査の操作性が劣り、検査時間が数分長くなる、という点があります。また、現在のところ治療用の処置具がまだ揃っていないため、最近、早期胃癌や出血性胃潰瘍などに行われている内視鏡的治療には向いていません。

このように、経鼻内視鏡は全ての内視鏡検査に使用できるわけではありませんが、一般的に行われている胃や十二指腸の状態を観察する検査については十分有用です。もちろん、従来の内視鏡でも咽頭麻酔を十分にかける、前処置で軽く鎮静剤を投与する、熟練した内視鏡医が検査すること等で少ない苦痛で検査をすることができます。

最近の技術の進歩で、より苦痛が少なく胃内視鏡検査ができるようになってきました。これからは、億劫がらずに胃の検査を受けていただけるようになるのではないか、と内心期待しております。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする